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撮影者として大事にしていること

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映像作家として大切にしている信条~伝えるということ~

こんにちは、映像クリエイターの由井友彬(Instagram@tomoaki_yui)です。

この「文章の書き始め」ってなんて書けば読み手を引き込めるんでしょう?
季語とか入れたほうが風情があるんでしょうか?
なかなかしっくりくる始まり方が思い浮かばないのでしばらくは「こんにちは」と心のこもった挨拶から始めたいと思います。
文章では「こんにちは」となんだか冷たい印象を受けますが、実際書いている時のテンション的には「こ〜〜〜んに〜〜ちわ〜〜〜!!!」と声を張り上げている感じです。
では行きましょう。

こんにちは。由井です。笑
今回は普段映像を作る者として、僕が何に重きを置いているかを少し書きたいと思います。

重きを置いていること=伝わる映像を作ること

映像制作を仕事とする上で、僕は「伝える」と言うことに重きを置いています。
何を「伝える」のかは、それぞれの案件によって違ってくると思います。

ただ、どんな案件でも必ず、大きな軸として「伝える」というゴールがあります。
それに向かうために「じゃあ今回はこんな映像にしよう」「それにはこんな音楽が合っている」「トランジションはこんな感じにしよう」という感じに「伝える」軸となる骨の周りに肉付けをする。
最近はそんなふうに制作しています。

「どうして世の中には同じような映像ばかり溢れているんだ?」という問いが僕を変えた

何故今、この題材を記事にしたのか。
それは、僕自身、映像を仕事として始めた初期と今では、「『何』に重きを置くか」がかなり大きく変わったからです。

アメリカにいた駆け出しの当時、僕は常に海外のカッコイイ映像ばかり見ていました。


「どうやったらこんな映像が撮れるのか」
「機材は何を使っているのか」
「色味はどう出しているのか」


毎日こんなことばかり考えていた記憶があります。

確かにそれも一つの正解。
誰かの真似をして、ビジュアル面で「とにかくカッコイイ映像を作ること」は、ある意味映像制作を始めるための大事な初期衝動だったと思います。

だけど、続けていくうちに疑問に思うようになりました。
「なんでみんな同じような映像ばかり作っているのだろう」と。

そこから自分の映像制作の過程に「何故」と問いかけるようになりました。

当時とにかく「カッコイイ映像にすること」に重きを置いていた自分。
今でもまだまだ目にすることの多い流行りのビュンビュン系トランジションや、海外有名クリエイターのアイデアだらけのタイトルや構成。
僕も昔は、とにかく流行っている映像を真似て作っていたのだと思います。

しかし、それは「映像の根本的な存在理由」、つまり「何を伝えるために作った映像なのか?」を見てなかったのと同じでした。

「そのトランジションがあった方が伝えたいことがより伝わりやすくなりますか?」
「そこは何故スローモーションにしたんですか?」

そう問われたならおそらく当時の僕は、一貫して「こっちの方がカッコイイから」と答えたでしょう。

本来、構成やエフェクトは、伝えたいことを最大限引き立てるために使われるべきです。
ところが、「『何故』そのトランジションやエフェクトを使っているのか?」と問われても、その頃の僕は「とにかく見ていてかっこいいから」と身勝手な理由でその本質を無視していたのです。

「映像がカッコイイ」と言うことをとにかく伝えたいのであればそれでもいいのかもしれません。
ですが、僕のようなクリエイターの場合、クライアントの伝えたい想いやテーマ、商品やブランドの意図や魅力などの大前提があってこそ、僕に制作依頼があります。
僕はそれらを、多くの人に最大限に伝えられる映像制作者でいたいと思うように変化していったのでした。

僕の考える「伝わる映像」とは

僕が考える「伝わる映像」とは、「動画を通して伝えたいことを重視」して制作された映像です。
ただ、難しく考える必要はないと思っています。

最初は常に「自分はこの動画を通して何を伝えたいのか」を重視して制作を進めていくとやりやすいでしょう。
その軸を持った上で、「じゃあそれにはどんな映像が合っているのか」などを考え進めていくことが出来ます。

そうして進めていけば「何故そこにトランジションエフェクトを入れたのか」という疑問が浮んだ際に、「カット間をシームレスに繋げたかったから」と答えが出てきます。
その答えが曖昧なままで進めて行くと、「なんかカッコイイのはわかるけど、で?何が伝えたいの?」てな感じの映像が仕上がっちゃいます。。

つまり、「動画を通して伝えたいことを重視」するようになると、

→伝えるためにテーマやストーリー、構成を練り込むようになっていく
→伝えるために、映像の構成要素それぞれを意味があるものにしようと意識して、行動するようになる
→無駄なカットやエフェクトを削れるようになり、逆に採用した意図もきちんと述べられるようになる

ということなんです。

たったひとつの意識の変化が、僕の行動を大きく変えていきました。

僕もまだまだ他のクリエイターから吸収しまくってますし、全てが全てそんな理屈じゃないということも分かります。
ですが、それでも「映像」とそれによって「伝えたいこと」というのは、切っても切れない存在だと僕自身は考えています。

何かを他人に伝えるという作業は、決して簡単なことではありません。
でも映像は、目や耳から得た情報で見る人の脳内をハックし、本や記事などの単純な言葉だけでは伝え切れないほどのものを、伝えられるのだから。
だからこそ、一緒に「意味のある映像」を作っていきましょう。

「独り善がりの映像」ではなく「伝えたいことを持つ映像」を作りたい

僕自身、仕事としての映像を進めて行く上で、この「伝える」ことがいかに難しいかを日々実感しながら、もがきにもがいて映像を作り続けています。

それでも一貫してその難しい「伝える」と言うことに重きを置いている理由は、先にも述べたように「独り善がりの映像」ではなく「伝えたいことを持つ映像」を作りたいからです。

そのために例えば映像制作を受注し、事前打ち合わせに行った際には、まず「映像を通して一番伝えたいことはどんなことか」を聞くところから始めていきます。

その軸を持った上で制作を進めて行くようにし、最終の着地点がズレないようそこから様々な構成構築に取り掛かって行くと言うわけです。

今後「打ち合わせで確実に押さえておくべき点」なども記事にしてみたいですね。
ただのジャストアイデアですが。笑

Tomoaki Yui

Author

由井友彬氏プロフィール画像

由井 友彬 / 映像作家
Tomoaki Yui

東京生まれ、石川県金沢市育ち。

美容師を志して18歳の時に上京。美容関係の学校に通った後、3年間都内美容室に勤務。その後、4年制大学に入学、哲学専攻。

大学在学中、米・カリフォルニア州立大学モントレー・ベイ校に留学。同校にて、Cinematic Arts & Technologyを専攻。
演出、制作、編集など映像制作の基礎を学ぶ。
留学中に日系大手旅行会社に売り込み、イメージビデオ制作の機会を得る。

以降、映像作家としてのキャリアを築く。2017年8月に帰国。現在は、東京を拠点にフリーランスの映像作家として活動中。